映画『十一人の賊軍』で仲野太賀さん演じる平十郎の殺陣に既視感を覚えた方も多いのではないでしょうか。その構えは、名作『切腹』で仲代達也さんが演じた半四郎の構えに似ていると言われています。本記事では、映画に描かれた殺陣の構えやその背景、さらに流派について詳しく解説します。
『十一人の賊軍』で見せた平十郎の構えとは?
『十一人の賊軍』のクライマックスで、平十郎が両腕を大きく広げ、腰を深く落とした独特の構えを見せました。この姿勢は、力強さと冷静さを兼ね備えた剣士の心理を表現しているように感じられます。
この構えは視覚的に強いインパクトを持つだけでなく、観客にキャラクターの内面的な葛藤や覚悟を伝える役割も果たしています。
『切腹』で描かれた同様の構え
1962年の映画『切腹』で仲代達也さんが演じた津雲半四郎も、同じように両腕を広げた構えを見せました。この構えは、半四郎が生死をかけた覚悟を示す場面で使用されています。
『切腹』の中では、この構えが特定の流派の技術に基づいていることが言及されています。その流派は多くの剣術に共通する「中段の構え」や「独自の防御姿勢」を発展させたものと考えられます。
この構えが象徴するもの
両腕を広げ、腰を深く落とす構えは、剣術の中でいくつかの目的を持っています。
- 挑発: 相手に隙を見せることで誘いをかけ、反撃の機会を狙う。
- 防御と攻撃のバランス: 腰を落とすことで安定感を増し、速やかな攻撃や防御が可能となる。
- 心理戦: 観る者や対戦相手に威圧感を与える効果があります。
これらの要素は、特に映画の演出において重要な意味を持ちます。
殺陣における流派の影響
日本の映画における殺陣の多くは、現実の剣術流派にインスピレーションを得ています。『切腹』や『十一人の賊軍』の構えは、以下の流派に影響を受けた可能性があります。
- 神影流: 攻撃と防御のバランスを重視し、威圧的な構えを特徴とする。
- 新陰流: 相手の心理を読む戦法が特徴的で、挑発的な構えを採用することがある。
これらの流派は映画の美学に影響を与え、視覚的な迫力を生み出す要素となっています。
まとめ: 構えに込められた深い意味
『十一人の賊軍』と『切腹』の両作品に共通する殺陣の構えは、単なる技術ではなく、キャラクターの心理や物語のテーマを体現する重要な要素です。
この構えに込められた意味を理解することで、映画をより深く楽しむことができます。もし興味があれば、実際の剣術や流派について調べることで、さらに新たな発見があるかもしれません。
両作品を鑑賞し、その演出の違いや共通点を比較するのも一興です。
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