1993年公開の映画『幸福の条件』(原題:Indecent Proposal)は、ロバート・レッドフォード、デミ・ムーア、ウディ・ハレルソンが出演した恋愛ドラマです。作品には音楽が印象的に使われており、特にロバート・レッドフォード演じる大富豪ジョン・ゲージと、デミ・ムーア演じるダイアナの関係を描く場面では、映像と音楽が強く結びついています。
なかでも印象に残りやすいのが、ゲージが若いころ地下鉄で出会った女性の思い出をダイアナに語り、彼女をダンスへ誘う場面です。この場面を含め、『幸福の条件』で印象的に使用された楽曲として知っておきたいのが、Sade(シャーデー)の「No Ordinary Love」です。
『幸福の条件』で使われたSade「No Ordinary Love」
「No Ordinary Love」は、イギリスのバンドSadeが1992年に発表した楽曲です。アルバム『Love Deluxe』の冒頭に収録されている曲で、Sade AduとStuart Matthewmanによって書かれました。
この曲は『幸福の条件』の劇中で使用されたことでも知られています。American Film Institute(AFI)の作品カタログにも、映画で使用された楽曲として「No Ordinary Love」、作曲者としてStuart MatthewmanとH.F. Adu、演奏者としてSadeが記載されています。[参照]
なお、「No Ordinary Love」は映画で目立って使用されているにもかかわらず、当時発売された公式サウンドトラック・アルバムには収録されていません。そのため、サウンドトラックCDの曲目だけを調べると見つからず、「あの曲は何だったのだろう」となりやすい楽曲です。
「一曲だけダンスを」の場面はどんなシーンなのか
映画の中でゲージはダイアナに「Dance?」と声をかけます。そして、自分が若かったころ、地下鉄で非常に美しい女性を見かけたという思い出を語ります。
二人は互いに視線を送りながらも声をかけられないまま、ゲージは目的の駅で地下鉄を降ります。列車が走り去るときに女性が笑顔を見せたため、ゲージは再び彼女に会おうと同じ時間に何度も駅へ通ったものの、結局その女性とは二度と会えませんでした。
その経験を語ったうえで、ゲージは過去と同じ後悔をしたくないという気持ちを示し、ダイアナにもう一度ダンスを求めます。このやり取りは実際の映画の台詞資料でも確認できるため、質問されやすい「昔出会った女性の話をしてからダンスに誘う場面」を特定する重要な手掛かりになります。
なぜ「No Ordinary Love」が『幸福の条件』の印象的な曲になったのか
「No Ordinary Love」というタイトルは、日本語に直訳すれば「普通ではない愛」といった意味になります。『幸福の条件』そのものが、夫婦の愛情に大富豪が入り込み、「100万ドルと引き換えに妻と一夜を過ごす」という異常な条件を提示する物語です。
そのため、通常の恋愛とは言いにくい登場人物たちの関係と、「No Ordinary Love」の持つ官能的で切ない雰囲気が非常によく重なります。単なるBGMではなく、映画のテーマそのものを連想させる楽曲として記憶に残りやすいのです。
また、映画公開時期と楽曲の発表時期も近く、「No Ordinary Love」は『幸福の条件』で使用されたことで改めて注目されました。映画をきっかけにこの曲を知った人も少なくありません。
別の有名曲「The Nearness of You」と混同しやすい
『幸福の条件』の曲を探す際に注意したいのが、劇中にはほかにも印象的なラブソングが登場することです。特に有名なのが「The Nearness of You」です。
映画ではSheena Easton(シーナ・イーストン)が「The Nearness of You」を歌う場面があります。AFIの作品カタログにも、Ned WashingtonとHoagy Carmichaelによる楽曲で、Sheena Eastonが演奏したことが記録されています。[参照]
こちらも非常にロマンチックな曲なので、「ダンス」「パーティー」「ロバート・レッドフォードとデミ・ムーア」といった記憶だけで探すと混同することがあります。映画には複数の印象的な恋愛曲が登場する、と覚えておくと曲を探しやすくなります。
『幸福の条件』にはほかにも多数の楽曲が使われている
『幸福の条件』では「No Ordinary Love」や「The Nearness of You」以外にも、Ray Charlesの「Cryin’ Time」、Roxy Musicの「In the Midnight Hour」、The Pretendersの「I’m Not in Love」、Roy Orbisonの「A Love So Beautiful」など、多数の楽曲が使用されています。
さらに映画音楽そのものは、『007』シリーズなどでも知られる作曲家John Barryが担当しています。そのため、劇中で聞こえる音楽には既存の歌曲だけでなく、映画のために作られた劇伴もあります。
「映画の中では確かに聞いたのにサウンドトラック盤を探しても見つからない」という場合は、劇中使用曲と市販されたサウンドトラック・アルバムの収録曲が一致していない可能性があります。『幸福の条件』はまさにその代表例で、「No Ordinary Love」は映画で使用されながらオリジナル・サウンドトラック盤には収録されなかった曲です。
まとめ|『幸福の条件』の音楽を探すならSadeもチェック
『幸福の条件』で、ロバート・レッドフォード演じるゲージとデミ・ムーア演じるダイアナの関係を印象づける楽曲として知られているのが、Sadeの「No Ordinary Love」です。同曲が映画で使用されたことはAFIの作品資料などでも確認できます。
一方、映画にはシーナ・イーストンが歌う「The Nearness of You」をはじめ複数の印象的な曲が登場するため、記憶している場面によっては曲を取り違えやすい点には注意が必要です。
特に「昔、地下鉄で出会った女性を忘れられない」というゲージのエピソードと「Just one dance?」へ続く場面は、『幸福の条件』を象徴するシーンの一つです。音楽とともに見直すと、ゲージがなぜダイアナに執着するのかという人物描写も、より分かりやすく感じられるでしょう。


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