『ウィキッド』と『オズの魔法使い』は、同じオズの世界を舞台にしながらも、その描かれ方に大きな違いがあります。特に、登場人物の行動や物語の進行については、いくつかの点で異なる解釈がされています。この記事では、読者からの質問に基づき、両者の相違点や物語の背景について掘り下げていきます。
エルファバと動物たちの運命
『ウィキッド』の中で、エルファバは動物たちの権利を守ろうと奮闘し、言葉を奪われた動物たちを解放しようとします。しかし、物語の進行に伴い、彼女はドロシーによって追放され、動物たちの解放は途中で途絶えます。その後、動物たちはグリンダによる統治下で解放されたのかという疑問について考えると、物語の中では直接的に解答が示されることはありません。『ウィキッド』の結末において、グリンダがどのようにオズを統治しているのかは不明ですが、彼女の行動から、動物たちに対する配慮がなされていたことは想像できます。
しかし、原作『オズの魔法使い』においては、動物たちの問題は描かれておらず、物語が進んでいく中で解決されることもありません。『ウィキッド』におけるこの要素は、オズの世界の暗い一面を強調するための重要なテーマの一つです。
オズの魔法使いの存在とその後
『オズの魔法使い』のオズは、魔法使いとして登場しますが、実際には詐欺師であり、魔法の力を持っていません。エルファバが倒された後、彼はどうなったのでしょうか?『ウィキッド』では、オズの魔法使いはあくまで生き続け、物語の中で特に大きな試練を迎えることなく、存続しています。彼の行動は、物語における「偽りの英雄」の象徴とも言えるものであり、彼が自らの立場を維持するために何をしているのかは詳細に描かれません。
また、グリンダがその後、オズの統治を引き継いだことに対する疑問も残ります。彼女がオズの魔法使いを許すことで、物語の中での倫理的なジレンマが浮かび上がり、登場人物たちの成長が描かれることになります。
『ウィキッド』と『オズの魔法使い』のキャラクターの違い
『ウィキッド』では、フィエロがかかしとなり、ボックがブリキになりますが、原作『オズの魔法使い』ではその設定が異なります。フィエロがかかしになる経緯や、彼がエルファバとともに姿を消す点は、原作の物語と大きく異なります。原作では、かかしはオズの魔法使いから脳みそをもらうために冒険を続けますが、『ウィキッド』ではその姿が消えるという違いがあるため、二つの物語は別物として考えるべきです。
また、ドロシーと共に旅をするキャラクターたち(ライオンやかかしなど)は、エルファバに恩を感じているため、彼女を倒すことに躊躇がなかったのでしょうか?『ウィキッド』では、これらのキャラクターたちがエルファバに対して持つ感情は複雑であり、彼らの行動に対する倫理的な葛藤が描かれています。
魔女という存在の希少性
オズの世界では魔女が非常に希少な存在として描かれています。魔女という言葉自体は広く浸透しているものの、実際に魔力を持つ存在は少ないようです。『ウィキッド』におけるエルファバは、非常に強い魔力を持つ魔女として描かれ、彼女が抱える葛藤や周囲との関係が物語の大きなテーマとなっています。
魔女が少ない理由としては、魔力を持つ者はその力を適切に扱うことができなければ危険な存在となり、結果的に社会から排除されることがあるからです。このことが、魔女としての力を持つキャラクターたちにとって大きな障壁となり、物語の中での重要なテーマとして扱われています。
まとめ:『ウィキッド』と『オズの魔法使い』の違いと共通点
『ウィキッド』と『オズの魔法使い』は、同じ世界観を持ちながらも、キャラクターやストーリーに大きな違いがあります。エルファバの動物たちへの愛情や、オズの魔法使いの存在など、両者の物語は異なる視点から描かれており、読む人によって解釈が変わる部分も多いでしょう。『ウィキッド』では、キャラクターたちの葛藤や成長、そして善悪の曖昧さが強調されており、これが原作『オズの魔法使い』との大きな違いとなっています。
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