名探偵ポワロのひげに秘められた謎:付け髭なのか?戦争の影響なのか?

外国映画

アガサ・クリスティ原作の『名探偵ポワロ』シリーズに登場するエルキュール・ポワロは、推理力もさることながら、完璧に手入れされた独特の口ひげでも知られています。そのひげに関して、「実は付け髭なのでは?」「戦争で被弾して髭が生えなくなったのでは?」という説が囁かれることがあります。今回は、そんなポワロの“髭の謎”について、作品内外の情報をもとに探ってみましょう。

ポワロの髭はなぜ印象的なのか?

ポワロの口ひげは、彼のキャラクターを象徴する重要な要素の一つです。原作では何度も「几帳面に整えられた立派な口ひげ」として描写され、ポワロ自身がそれを誇りに思っている様子が見受けられます。彼はファッションにも細かく、髪型、服装、そして髭の整え方にまで徹底的にこだわっています。

例えば、『ABC殺人事件』ではポワロが鏡で髭の手入れをするシーンがあり、彼の美意識の高さと自己演出へのこだわりがうかがえます。そのため、髭はただの飾りではなく、彼の“完璧主義”を象徴する小道具でもあるのです。

戦争で髭が生えなくなったという説

一部のファンの間では、「ポワロは第一次世界大戦で顔に被弾し、その影響で髭が生えなくなり、代わりに付け髭を使用している」という説が語られています。このアイデアは主に映像作品、特に現代のドラマ版などから派生したもので、原作小説には明確な記述はありません。

たとえば、ケネス・ブラナーが演じる映画版『オリエント急行殺人事件』(2017年)では、ポワロが戦争中の負傷の結果、顔に傷跡を残しており、それを隠す目的で豪華な口ひげをつけているという設定が登場します。これは監督・俳優の創作によるキャラクターの肉付けであり、原作とは異なる解釈です。

原作小説における髭の描写

アガサ・クリスティの原作小説において、ポワロが付け髭をしているという描写は一切登場しません。むしろ、ポワロが日常的に髭を手入れし、誇りにしているという記述が何度も登場します。そのため、小説の設定においては“自前の髭”であると考えるのが妥当です。

『スタイルズ荘の怪事件』では、ポワロの髭について「ヨーロッパで最も立派な口ひげ」と形容されており、その手入れには非常に時間をかけていることが語られています。つまり、原作のポワロにとって髭は自分のアイデンティティの一部なのです。

映像作品ごとの違いに注目

映像化された作品では、ポワロの髭に関して演出が分かれる点も注目に値します。たとえば、デヴィッド・スーシェ版では自然な立派な口ひげが特徴で、彼の演技と共に原作のイメージに近いものとされています。一方、ケネス・ブラナー版では、上記のようにひげに独自の背景設定が加えられました。

また、アルバート・フィニーやピーター・ユスティノフが演じたバージョンでは、髭のボリュームや形状もそれぞれ異なり、各俳優が独自のポワロ像を演出するための“道具”として髭を活用していることが分かります。

まとめ:ポワロの髭は「誇り」であり「象徴」

ポワロの髭は、原作小説では生まれつき生えているものとして描かれ、彼の完璧主義や紳士的な美意識の象徴です。戦争の傷を隠すための付け髭という設定は、映像作品によって新たに加えられた創作であり、公式設定ではありません。

したがって、もし誰かが「ポワロの髭は付け髭で、戦争の被弾が理由」と言ったとしても、それはある特定の映像作品の演出であることを理解し、原作と映像作品の違いを楽しむことが大切です。いずれにせよ、彼の髭は探偵としてのアイコンであり、謎解き以上に“美”への追求を表す重要なモチーフなのです。

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